遊☆戯☆王デュエルモンスターズII 闇界決闘記

青眼の白龍がクリボーに負ける世界——1999年の遊戯王ゲームが持っていたヤバい独自ルール
1999年7月8日。コナミから一本のゲームボーイソフトが発売された。
『遊☆戯☆王デュエルモンスターズII 闇界決闘記』。今となっては「昔あったやつ」程度の認識の人も多いかもしれないが、このゲーム、知れば知るほど「よくこれで成立してたな」という独自ルールの塊だった。

まず前提として、今の遊戯王とは別物だと思ってほしい
現代の遊戯王OCGは精緻なルールのもとで動いている。攻撃力、守備力、効果、チェーン処理。そういった要素が積み重なって成立している競技的なゲームだ。
本作はそういうものではない。
当時の遊戯王ゲームボーイ版は、「カードゲームを題材にしたゲーム」であって、「カードゲームの完全再現」ではなかった。だからこそ、現代の感覚で触ると至るところでひっかかる。そしてそのひっかかりが、妙に面白い。

最大の特徴:「召喚魔族」という名の相性じゃんけん
このゲームで一番「え?」となる要素がこれだ。
モンスターにはそれぞれ「召喚魔族」という属性が設定されていて、相性が有利な場合、攻撃力差を無視して相手を倒せることがある。
Wikipediaにも実例が載っているが、端的に言うとこういうことだ。
青眼の白龍(攻撃力3000)が、クリボー(攻撃力300)に負けることがある。
現代OCGのプレイヤーが聞いたら卒倒するような話だが、これが本作の仕様だ。戦闘の結果が「攻撃力だけでは決まらない」。まず召喚魔族の相性を確認して、それから攻撃力を見る。このゲームで強いカードとは、「強い召喚魔族を持ちつつ攻撃力も高いカード」ということになる。
理不尽といえば理不尽だが、この仕様のおかげで番狂わせが起き、強いカードを持っているだけでは勝てない緊張感が生まれる。それがゲームとして成立していたのだから、むしろよくできた設計とも言える。

もう一つの特徴:「持っていても使えない」問題
本作にはデッキキャパシティとデュエリストレベルという概念がある。カードにはそれぞれコストが設定されており、プレイヤーのキャパシティの範囲内でしかデッキに入れられない。
つまり、ゲーム序盤に強いレアカードを引き当てても、キャパシティが足りなければデッキに入らない。持っているけど使えないという状態が、かなり長く続く。
これは現代のゲーム感覚で言えば相当なストレスだが、逆に言えば「強いカードを使えるようになるまで育てる」という成長の実感を生んでいた。当時のゲームとしては自然な設計だったのかもしれない。

一方で融合はかなり爽快
しんどい部分を書いたが、融合システムは本作の気持ちいい部分だ。
前作より融合のバリエーションが増え、1ターンに魔法を複数使えるため、連続融合で一気に盤面を作っていける。手札も毎ターン5枚に補充されるので、テンポが軽い。
「変なルールで動いているけど、デュエル自体はスピード感がある」というのが本作のプレイ感の核心で、ここが前作から大きく改善された点として当時も評価されていた。

収録カードは720枚、そして同梱カード文化
前作の365枚から720枚へ、ほぼ倍増している。ゲームボーイカラーに対応したことで画面も鮮やかになり、シリーズとしての進化は明確だった。
そして当時らしい要素として、パッケージに実物カードが3枚同梱されていた。「究極完全態・グレート・モス」「ホーリー・ナイト・ドラゴン」「ハーピィの羽根箒」「死のデッキ破壊ウイルス」など全10種類の中からランダムで封入されるという仕様で、開封のドキドキがゲーム本体と別に存在していた。
この時代の遊戯王の熱気は相当なものだったようで、1999年8月の東京ドームイベントでは来場者が殺到し、限定カード販売が中止されるほどの混乱が起きたという記録も残っている。

25年後に遊べる
本作は現在、『Yu-Gi-Oh! EARLY DAYS COLLECTION』(Nintendo Switch/PC)に収録されており、今でも普通に遊べる。
当時を知る人には懐かしさとして、知らない人には「これが原点か」という発見として楽しめる一本だ。現代OCGの洗練とはまったく異なる、ゲームボーイ時代の遊戯王が持っていた独特のクセと熱量——青眼の白龍がクリボーに負けるあの世界を、一度のぞいてみるのも悪くない。​​​​​​​​​​​​​​​​

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